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zoom RSS 日本学術会議「高レベル放射性廃棄物の処分に関する検討委員会」の原子力委員会への回答書

<<   作成日時 : 2012/09/13 01:18   >>

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「高レベル放射性廃棄物の処分に関する取組みについて」と題する審議依頼が日本学術会議会長宛にあったそうだ。2010 年9月に内閣府原子力委員会委員長から依頼されていたとのこと。それを受けて、2012年9月11日の原子力委員会定例会議において回答がなされた。

原子力委員会定例会議 2012-09/11
http://www.aec.go.jp/jicst/NC/iinkai/teirei/siryo2012/siryo39/index.htm

その配布資料1-1の中の文言の抜き出しと回答書の要旨全文を、以下に引用する。

このような提言が電力会社や原発推進に好意的な方々から出てくることは絶対にないだろうと想像する。これまでの様々な電力会社と政府関係者の行動・発言を見て聞いてきた限り、そのように思えて仕方がなかった。

日本の学者の先生方にも真っ当な判断力と見識を持っている方々が沢山いらっしゃることを確認できて私は安心した。

皆さんはどう感じるのであろうか。それにも大変興味がある。

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【資料1-1 p.3】

<審議における3つの視点>
●高レベル放射性廃棄物の処分のあり方に開する合意形成がなぜ困難かを分析し、その上で合意形成への道を探る。
●科学的知見の自立性の確保と、その限界を自覚する。
●国際的視点を持つと同時に、日本固有の条件を勘案する。
      ↓
<明らかになった3つの困難>
●エネルギー政策・原子力政策における社会的合意の欠如のまま、高レベル放射性廃棄物の最終処分地選定への合意形成を求めるという転倒した手続き。
●超長期間にわたる放射性物質による汚染発生可能性への対処の必要性。
●受益益と受苦圏の分離。
      +
<震災・原発事故の経験>
●自然現象の不確実性への適切な配慮の必要性。
●大地震による日本列島における地殻の変動(従来の放射性廃棄物処分政策・技術が前提としてきた条件の大きな変化)。
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【資料1-1 p.4】

[提言にあたっての3つの基本的立場]
@これまでの政策方針や制度的枠組みを自明の前提にするのではなく、原点に立ち返って考え直す必要性。
A「取組みについての国民に対する説明や情報提供のあり方について」どうすればよいかという問いへの解答は、狭い意味での説得技術を超えた検討が必要。
B民主主義の原理に則って、住民、電力会社、自治体関係者、専門家などの利害関係者間で議論を尽くして合意形成を行い、これに基づいて問題解決の道を探ることが重要。
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
【資料1-1 p.5】

●これまでの政策枠組みが、各地で反対に遭い、行き詰まっているのは、 説明の仕方の不十分さというレベルの要因に由来するのではなく、より根源的な次元の問題に由来。

   @エネルギーに開する大局的政策
      ↓
   Aエネルギー源に占める原子力発電の割合の策定
      ↓
   B高レベル放射性廃棄物の処分地の決定

従来は@→Aにおける広範な社会的合意が欠如したまま、Bに取り組んできた(転倒した手続き)
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
【資料1-1 p.7】

行き詰まりの第二の理由は、原子力政策に関する大局的方針についての国民的合意が欠如したまま、最終処分地選定という個別的な問題が先行して扱われていること。
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
【配布資料1-1 p.8】

最終処分の方策確立・・・核変換技術(半減期を短縮する技術)の研究開発、容器の耐久性の向上等の処分方法の研究開発、地層の安定性に関する研究、等の進展に期待
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
【資料1-1 p.10】

●行き詰まりの第三の理由は、従来の政策枠組みが想定している廃棄物処分方式では、受益圏と受苦圏が分離するという不公平な状況をもたらすこと。
●この不公平な状況に由来する批判と不満への対処として、電源三法交付金などの金銭的便益提供を中心的な政策手段とするのは不適切。
●社会的に見て重要な施設で安定した地層を必要とするようなものを併設し、関係者が業務と生活の基盤を置くことが望ましい。
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
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【以下、回答の中の要旨全文を引用する】

回答
http://www.scj.go.jp/ja/info/kohyo/pdf/kohyo-22-k159-1.pdf

要旨


1 作成の背景

 2010 年9月、日本学術会議は、内閣府原子力委員会委員長から日本学術会議会長宛に、「高レベル放射性廃棄物の処分に関する取組みについて」と題する審議依頼を受けた。高レベル放射性廃棄物の処分に関しては、「特定放射性廃棄物の最終処分に関する法律」に基づく基本方針及び最終処分計画に沿って、関係行政機関や原子力発電環境整備機構(NUMO)等により、文献調査開始に向けた取組みが行われてきているが、文献調査開始に必要な自治体による応募が行われない状態が続いている。内閣府原子力委員会委員長からの依頼では、「高レベル放射性廃棄物の処分に関する取組みについての国民に対する説明や情報提供のあり方について審議」し、提言には、「地層処分施設建設地の選定へ向け、その設置可能性を調査する地域を全国公募する際、及び応募の検討を開始した地域ないし国が調査の申し入れを行った地域に対する説明や情報提供のあり方」、さらに「その活動を実施する上での平成22 年度中に取りまとめられる予定のNUMO による技術報告の役割についての意見が含まれる」ことを期待する、との主旨が述べられている。

 内閣府原子力委員会委員長からの依頼を受け、第21 期日本学術会議は、2010 年9月16日に課題別委員会「高レベル放射性廃棄物の処分に関する検討委員会」を設置し、設置期限の2011 年9月末日までに、内閣府原子力委員会に対する回答を作成することを目標とした。しかし、委員会発足から約半年後の2011 年3月11 日、東日本大震災が発生し、これに伴う東京電力福島第一原子力発電所事故により、わが国では、これまでの原子力政策の問題点の検証とともに、エネルギー政策全体の総合的見直しが迫られることとなった。そこで同委員会は、このような原子力発電所事故の影響およびエネルギー政策の方向性を一定期間見守ることが必要と考え、それまでの審議を記録「中間報告書」として取りまとめて第22 期の「高レベル放射性廃棄物の処分に関する検討委員会」に審議を引き継いだ。


2 現状および問題点

 本回答において、「高レベル放射性廃棄物」とは、使用済み核燃料を再処理した後に排出される高レベル放射性廃棄物のみならず、仮に使用済み核燃料の全量再処理が中止され、直接処分が併せて実施されることになった場合における使用済み核燃料も含む用語として使用する。

 本委員会は、依頼を受けた課題を検討するにあたって、(1) 高レベル放射性廃棄物の処分のあり方に関する合意形成がなぜ困難なのかを分析し、その上で合意形成への道を探る、(2) 科学的知見の自律性の保障・尊重と、その限界を自覚する、(3) 国際的視点を持つと同時に、日本固有の条件を勘案する、の3つの視点を採用した。その上で本委員会は、高レベル放射性廃棄物の最終処分をめぐって、社会的合意形成が極度に困難な理由として、(1) エネルギー政策・原子力政策における社会的合意の欠如のまま、高レベル放射性廃棄物の最終処分地選定への合意形成を求めるという転倒した手続き、(2) 原子力発電による受益追求に随伴する、超長期間にわたる放射性の汚染発生可能性への対処の必要性、 (3)受益圏と受苦圏の分離、の3つを挙げる。


3 提言の内容

 原子力委員会委員長からの依頼である「高レベル放射性廃棄物の処分の取組みにおける国民に対する説明や情報提供のあり方についての提言のとりまとめ」に対し、本委員会は以下の6つを提言する。なお、本提言は、原子力発電をめぐる大局的政策についての合意形成に十分取組まないまま高レベル放射性廃棄物の最終処分地の選定という個別的課題について合意形成を求めるのは、手続き的に逆転しており手順として適切でない、という判断に立脚している。

(1) 高レベル放射性廃棄物の処分に関する政策の抜本的見直し

 わが国のこれまでの高レベル放射性廃棄物処分に関する政策は、2000 年に制定された「特定放射性廃棄物の最終処分に関する法律」に基づき、NUMO をその担当者として進められてきたが、今日に至る経過を反省してみるとき、基本的な考え方と施策方針の見直しが不可欠である。これまでの政策枠組みが、各地で反対に遭い、行き詰まっているのは、説明の仕方の不十分さというレベルの要因に由来するのではなく、より根源的な次元の問題に由来することをしっかりと認識する必要がある。また、原子力委員会自身が2011 年9月から原子力発電・核燃料サイクル総合評価を行い、使用済み核燃料の「全量再処理」という従来の方針に対する見直しを進めており、その結果もまた、高レベル放射性廃棄物の処分政策に少なからぬ変化を要請するとも考えられる。これらの問題に的確に対処するためには、従来の政策枠組みをいったん白紙に戻すくらいの覚悟を持って、見直しをすることが必要である。

(2) 科学・技術的能力の限界の認識と科学的自律性の確保

 地層処分をNUMO に委託して実行しようとしているわが国の政策枠組みが行き詰まりを示している第一の理由は、超長期にわたる安全性と危険性の問題に対処するに当たっての、現時点での科学的知見の限界である。安全性と危険性に関する自然科学的、工学的な再検討にあたっては、自律性のある科学者集団(認識共同体)による、専門的で独立性を備え、疑問や批判の提出に対して開かれた討論の場を確保する必要がある。

(3) 暫定保管および総量管理を柱とした政策枠組みの再構築

 これまでの政策枠組みが行き詰まりを示している第二の理由は、原子力政策に関する大局的方針についての国民的合意が欠如したまま、最終処分地選定という個別的な問題が先行して扱われてきたことである。広範な国民が納得する原子力政策の大局的方針を示すことが不可欠であり、それには、多様なステークホルダー(利害関係者)が討論と交渉のテーブルにつくための前提条件となる、高レベル放射性廃棄物の暫定保管(temporal safe storage)と総量管理の2つを柱に政策枠組みを再構築することが不可欠である。

(4) 負担の公平性に対する説得力ある政策決定手続きの必要性

 これまでの政策枠組みが行き詰まりを示している第三の理由は、従来の政策枠組みが想定している廃棄物処分方式では、受益圏と受苦圏が分離するという不公平な状況をもたらすことにある。この不公平な状況に由来する批判と不満への対処として、電源三法交付金などの金銭的便益提供を中心的な政策手段とするのは適切でない。金銭的手段による誘導を主要な手段にしない形での立地選定手続きの改善が必要であり、負担の公平/不公平問題への説得力ある対処と、科学的な知見の反映を優先させる検討とを可能にする政策決定手続きが必要である。

(5) 討論の場の設置による多段階合意形成の手続きの必要性

 政策決定手続きの改善のためには、広範な国民の間での問題認識の共有が必要であり、多段階の合意形成の手続きを工夫する必要がある。暫定保管と総量管理についての国民レベルでの合意を得るためには、様々なステークホルダーが参加する討論の場を多段階に設置すること、公正な立場にある第三者が討論過程をコーディネートすること、最新の科学的知見が共有認識を実現する基盤となるように討論過程を工夫すること、合意形成の程度を段階的に高めていくこと、が必要である。

(6) 問題解決には長期的な粘り強い取組みが必要であることへの認識

 高レベル放射性廃棄物の処分問題は、千年・万年の時間軸で考えなければならない問題である。民主的な手続きの基本は、十分な話し合いを通して、合意形成を目指すものであるが、とりわけ高レベル放射性廃棄物の処分問題は、問題の性質からみて、時間をかけた粘り強い取組みを実現していく覚悟が必要である。限られたステークホルダーの間での合意を軸に合意形成を進め、これに当該地域への経済的な支援を組み合わせるといった手法は、かえって問題解決過程を紛糾させ、行き詰まりを生む結果になることを再確認しておく必要がある。また、高レベル放射性廃棄物の処分問題は、その重要性と緊急性を多くの国民が認識する必要があり、長期的な取組みとして、学校教育の中で次世代を担う若者の間でも認識を高めていく努力が求められる。
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