Behind the Days

アクセスカウンタ

zoom RSS ガンマ線スペクトルを自作装置で測定して感じること 物質中での高速電子(ベータ線と同じもの)の生成

<<   作成日時 : 2013/04/27 14:34   >>

ブログ気持玉 0 / トラックバック 0 / コメント 0

最もわかりやすい例として40カリウムからのスペクトルを再掲する。
小型のCsI(Tl)結晶(5x5x4mm)とSi PD(S6775)を用いることにより、ピーク分離性を高めた自作システムによる測定結果だ。

            ↓

(再掲)炭酸カリウム(純度99%以上、カリウム40を含む)
画像


放射性セシウムは、ベータ線もガンマ線もだいたい同じ程度に放出する。しかしながら、40カリウムの放射能の9割近くはベータ線として放出されるので、ガンマ線としてカウントされる分は1割ほどしかない。だから、きれいなスペクトルを取りたければ、放射性セシウムより測定時間を1桁近く長くする必要がある。

1,461keVのピークは、いわゆる、”無散乱成分”だ。要するに、ガンマ線(電磁波)のエネルギーのすべてが多数の光子(可視光)のエネルギーに変換されて、Si PDで検出されたことを示す。したがって、”光電効果ピーク”と呼ばれる。

一方で、約200keVほど低いエネルギー領域でステップ状に立ち上がる成分がある。これはコンプトン散乱によって生じる”エネルギー損失成分”であるが、ガンマ線に起因するものであるのは間違いない。立ち上がる部分のことを”コンプトンエッジ”と呼ぶ。

※ 2013-6/13追記
ここで取り上げているコンプトン散乱が起こる場所は、CsI(Tl)結晶内部である。一般の解説などでは、容器や遮蔽物内で起こるコンプトン散乱があると説明されているようだ。しかしながら、その説明とは異なり、自分の測定結果を見る限り、わざわざCsI(Tl)結晶外部でのコンプトン散乱を考える必然性がないと私は感じている。 


そして、コンプトン散乱とは何かと言えば、ガンマ線(電磁波)のエネルギーの一部が物質中の電子の運動エネルギーに移行する現象である。すなわち、ガンマ線が電子をはじき出して、高速電子(ベータ線と同じもの)が飛び出す。そして、ガンマ線の”光電効果ピーク”と同様に、その高速電子がCsI(Tl)結晶を発光させるのである。

質量を持たない電磁波と質量を持つ電子の間でのエネルギー分配においては、伝達し切れないエネルギーの最低値(200keV程度)が必ず存在するので、”無散乱成分”と”コンプトンエッジ”の間には200keV程度のギャップが開くのだ。(このギャップを観測するために、この数か月間悪戦苦闘したと言っても過言ではない。)

ここで特に強調したいのは、上記の高速電子(ベータ線と同じもの)の生成は大抵の物質中で起こるということだ。もちろん、人体中においても一定割合で生じる現象なのである。したがって、ガンマ線の危険性の中には、ベータ線の危険性も自動的に含まれているということになる。人体が物質でできている限り、避けられない。よって、ガンマ線であろうが、ベータ線であろうが、被曝症状に違いがなくても矛盾はしないということになる。

人間は、極微量の40カリウム(同位体比率0.012%)と共存してきたかもしれないが、だからと言って、放射線に耐性があるというわけではない。常に、損傷と修復の平衡状態があったはずだ。だから、余分な被曝は極力避けるべきだと考えるのが最も自然なことであろう。




−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
【関連ブログ記事】

【ガンマ線スペクトロメータ自作メモ】 手作りしながら放射線の物理を学ぶ挑戦者へのメッセージ
作成日時 : 2013/06/16 02:31

http://behind-the-days.at.webry.info/201306/article_7.html

印旛沼の魚類等のセシウム134/セシウム137比率の異常が暗示するもの
作成日時 : 2013/04/14 01:22

http://behind-the-days.at.webry.info/201304/article_7.html

上野・不忍池(東岸)の汚染土のガンマ線量、ベータ線量、134Cs/137Cs比率の評価結果
作成日時 : 2013/04/14 00:05

http://behind-the-days.at.webry.info/201304/article_6.html

2011年5月31日の羽田空港の停機場所の放射性セシウム濃度に関する考察
作成日時 : 2013/04/10 17:41

http://behind-the-days.at.webry.info/201304/article_4.html

放射性カリウムによる被曝や航空機中での被曝と、原発由来の人工放射性物質による被曝は同じなのか?
作成日時 : 2013/04/10 15:32 >>

http://behind-the-days.at.webry.info/201304/article_3.html

ガンマ線スペクトロメータの稼働開始 福島、仙台、柏の各市内の汚染土の137Cs/134Cs比率
作成日時 : 2013/04/07 03:36

http://behind-the-days.at.webry.info/201304/article_2.html












γ線 スペクトロメトリ ヨウ化セシウム タリウム 福島第一原発事故 放射能 放射性物質 核種分析 

テーマ

注目テーマ 一覧


月別リンク

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!
ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。
→ログインへ

トラックバック(0件)

タイトル (本文) ブログ名/日時

トラックバック用URL help


自分のブログにトラックバック記事作成(会員用) help

タイトル
本 文

コメント(0件)

内 容 ニックネーム/日時

コメントする help

ニックネーム
本 文
ガンマ線スペクトルを自作装置で測定して感じること 物質中での高速電子(ベータ線と同じもの)の生成 Behind the Days/BIGLOBEウェブリブログ
文字サイズ:       閉じる