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zoom RSS ヒト細胞が放射線による障害を感知して転写を止め障害を修復する仕組みを解明 放射線と急性白血病・発癌

<<   作成日時 : 2015/04/24 20:44   >>

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「放射線が人間に与える影響の中でDNAの二重鎖切断が最も深刻で細胞死や発癌の原因であると考えられています。」
「ENL蛋白質の異常は急性白血病を引き起こす事が知られており、この発見と細胞の癌化の関係も重要であります。」


みんな、知ってるのかな。

そういうことは、チェルノブイリや福島での原発事故の人間への影響に関する重要事項として、きちんと周知されるべきではないのかな。甲状腺がんのリスクだけが取り上げられるっていうのはおかしいですよね。

今回の発見は、放射線によるDNA二重鎖切断時に細胞を細胞死や癌化から守るためにENL蛋白質が働く機構を解明したという点なのかな。

でも、勘違いしてはいけない。放射線の照射量が増えるということは、DNA二重鎖が切断に向かう速度定数が増えるということであり、修復に向かう速度定数は変わらないように思えるから、切断と修復の平衡状態は確実に切断側へシフトしていくということである。すなわち、平衡の中で切断状態にあるものが増加するという結論は変わらない。

また、そういう修復機能があるからといって、その機構が必ず修復に成功するというわけではない。例えば、切断というイベントが至近距離で同時多発した場合には、修復が困難になることはあるだろう。あるいは、ENL蛋白質そのものの遺伝子が単なる切断以上の深刻なダメージを受ければ修復は起こらないことになる。 (← 2015-7/7 YS様のご指摘を受けて訂正・追記)

以上のようないろいろなケースを取り上げていくと、放射線の照射量が通常レベルより増えれば、修復が成功する確率が下がっていく可能性は十分にあるように思えてくる。だから、放射線の照射量が増えるとともに、細胞が細胞死や癌化するリスクは増えるだろう。結局、詳細な機構が発見されたからといって、放射線の照射量が増えればリスクが増えるという理解に変わりはないのである。

まあ、私はこんなようなことを考えてしまうわけだが、専門家と呼ばれる人たちには、こんな私の気持ちを分かってくれたらうれしい。でも、私の気持ちがわかったからといって研究費がもらえるわけではないので、わかってはくれないだろう。その気持ちもわかるけどね。



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東北大学 プレスリリース   2015年4月24日 09:00
http://www.tohoku.ac.jp/japanese/2015/04/press20150423-01.html
http://bit.ly/1OMF5Hf

ヒト細胞が放射線による障害を感知して転写を止め障害を修復する仕組みを解明

東北大学加齢医学研究所・加齢ゲノム制御プロテオーム寄付研究部門(安井 明教授)は発癌や細胞老化の原因となるDNAの傷が細胞内でどのように修復されるかを研究しています。
 この度、同部門の宇井彩子博士・安井明教授らのグループは、放射線の最も深刻な影響であるDNAの二本鎖切断が生じた近傍の転写(DNAの情報をRNAに読み取る過程)が止まる仕組みを解明しました。その機構は丁度、前方の障害により進行中の電車の運転手に停止シグナルが伝えられブレーキがかかり近くの電車が次々と止められ、そのことにより障害の修理が起き、修理が終わると近くの電車から運転を始める様な機構であることを明らかにしました。さらにこの機構が放射線による細胞死を抑え、さらに細胞の癌化や老化を抑えていることが分りました。
 本来は転写を進行させる因子が、転写を抑える因子を呼び寄せてそれぞれの進行している転写の現場で転写を抑制し、それが二重鎖切断の修復蛋白質を呼び寄せ修復を行ない再び転写が開始する機構の発見は、従来知られていない画期的な研究成果として、Molecular Cellに発表される運びとなりました。論文は2015年4月23日にonline発行される同誌に掲載予定です。

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東北大学           平成27年4月23日
詳細(プレスリリース本文) PDF
http://www.tohoku.ac.jp/japanese/newimg/pressimg/tohokuuniv-press20150423_01web.pdf


報道機関 各位          東北大学加齢医学研究所

ヒト細胞が放射線による障害を感知して転写を止め障害を修復する仕組みを解明

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1. 研究の背景

 放射線が人間に与える影響の中でDNAの二重鎖切断が最も深刻で細胞死や発癌の原因であると考えられています。一般にDNA上の傷は種々の原因で生じ、殆どの傷は傷を見つけて修復する蛋白質の働きで修復され細胞を細胞死や癌化から守っていますが、まだ詳しい機構の多くは分ってはいません。DNAの傷はそのDNAの情報を使う転写と細胞増殖のための複製の機構を最も阻害します。転写はDNAの情報を基に蛋白質を作る為にまず RNA の情報に移される機構ですが、DNAの傷があると転写はそこで止まってしまい、重要な蛋白質が作られなくなり、細胞は機能を止めてしまう可能性があります。しかし、これまでに転写と共役した修復の機構が見つかっています。紫外線等で出来たDNA上の傷で止まったRNAポリメラーゼに結合する因子が修復蛋白を呼び寄せて素早く修復して転写を救う機構で、この機構が欠損する遺伝病は早老症として知られているコケイン症候群です。放射線による二重鎖切断の場合に、その周辺の転写が抑えられると言う事は分っていたものの、その転写抑制がどのように起き、どのように修復が開始するかは全く分っていませんでした。また、それが出来ないとどのような影響があるかは分っていませんでした。

2. 研究成果の概要

 発見のきっかけは、RNAポリメラーゼに結合して転写を活性化するENL蛋白質に細胞内で転写を抑えるポリコームと呼ばれる蛋白質が結合している事を、助教をしていた宇井彩子博士が見つけた事です。転写を進める因子が転写を抑える因子と結合するのは転写を無理矢理止める必要がある時ではないかと考え、我々が以前に樹立した、ヒト細胞内のDNA上に二重鎖切断を入れる場所とそれに続く転写が起きる領域があり、その転写の産物を観測出来る細胞を使って、二重鎖切断を入れると転写を抑えられる事を確かめ、その為にENLとENLに結合するポリコーム蛋白質が必要な事が分りました。二重鎖切断が出来るとATMと呼ばれる蛋白質がまず現場にやって来て活性化され、ENLにリン酸化という修飾を施すことが分り、その修飾によりENLにポリコームがくっつき、そのポリコームが近傍のDNAに結合するヒストンという蛋白質にユビキチン化という修飾を施すことによりその場の転写を止めてしまうことが分りました。このようにして転写が止まって始めて二重鎖切断の修復蛋白質がやって来て二重鎖切断を修復することも明らかになりました(図 1)。ENLが無い細胞や、ENLがATMにリン酸化されなくすると修復は起きず細胞は放射線に感受性になる事も分りました。すなわち、この機構は細胞の放射線感受性に関わっています。この機構は丁度、線路上の障害の存在を、そこに近づく電車に次々と知らせて運行を止め,修理屋を呼んで修理させ、又運行を開始する電車の運行システムに似ています (図 2)。共通点は障害の現場で電車を止めるのではなく、それぞれの進行中の電車に障害の存在が伝えられその場所で停止するということです。このシステムでは、高速道路の様な車同士の追突事故は生じず、修理が効率的に進められ、修理の終わった後での再開がスムーズであり、障害の影響が最小限に抑えられます。

3. 研究成果の意義

 放射線の細胞影響で最も大きい比重を占めているDNAの二重鎖切断が転写と重なった時に近傍の転写が止まる機構を明らかにし、さらにそれが細胞死を抑える為に必要であることが分ったのは、ヒト細胞の持つ細胞死を免れる高度な機構の発見であり、さらに、その転写抑制が、転写を促進するRNAポリメラーゼ II に結合する因子によって引き起こされることは、転写制御の全く新しい機構の発見であり、細胞分化や細胞老化一般に重要な意義を持っているということです。ENL蛋白質の異常は急性白血病を引き起こす事が知られており、この発見と細胞の癌化の関係も重要であります。

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Molecular Cell          In Press Corrected Proof
http://www.cell.com/molecular-cell/abstract/S1097-2765(15)00214-2

DOI: http://dx.doi.org/10.1016/j.molcel.2015.03.023

Transcriptional Elongation Factor ENL Phosphorylated by ATM Recruits Polycomb and Switches Off Transcription for DSB Repair

Ayako Ui 2, Yuko Nagaura, Akira Yasui

2 Present address: Department of Translational Oncology, St. Marianna University Graduate School of Medicine, Kawasaki 216-8511, Japan

Highlights
•ATM phosphorylates the transcriptional elongation factor ENL in response to DSB
•ENL interacts with and recruits PRC1 at transcriptional elongation sites
•PRC1 ubiquitinates H2A leading to DSB-induced transcriptional repression
•Transcriptional repression promotes the access of KU70 at DSB for DSB repair

Summary
Transcription is repressed if a DNA double-strand break (DSB) is introduced in close proximity to a transcriptional activation site at least in part by H2A-ubiquitination. While ATM signaling is involved, how it controls H2A-ubiquitination remains unclear. Here, we identify that, in response to DSBs, a transcriptional elongation factor, ENL (MLLT1), is phosphorylated by ATM at conserved SQ sites. This phosphorylation increases the interaction between ENL and the E3-ubiquitin-ligase complex of Polycomb Repressive Complex 1 (PRC1) via BMI1. This interaction promotes enrichment of PRC1 at transcription elongation sites near DSBs to ubiquitinate H2A leading to transcriptional repression. ENL SQ sites and BMI1 are necessary for KU70 accumulation at DSBs near active transcription sites and cellular resistance to DSBs. Our data suggest that ATM-dependent phosphorylation of ENL functions as switch from elongation to Polycomb-mediated repression to preserve genome integrity.
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コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
「ENL蛋白質の遺伝子がダメージを受ければ」ならまだしも「ENL蛋白質そのものがダメージを受ければ修復は起こらない修復は起こらない」はちょっと。
YS
2015/07/07 00:01
YS様、ご指摘ありがとうございました。細かい所まで読んでいただき恐縮です。確かに、”そのもの”っていうのはいい加減な表現でしたね。正確ではないかもしれませんが、多少はマシな表現になるように訂正してみました。
エム(管理人)
2015/07/07 11:07

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