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zoom RSS トリチウムの線量係数を桁違いに小さくしたのは誰か? トリチウムの生体影響評価に関する資料収集

<<   作成日時 : 2015/05/30 14:42   >>

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まず東京電力によるトリチウムの性質に関する説明資料をじっくりと眺めてみよう。

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福島第一原子力発電所でのトリチウムについて、平成25年2月28日 、東京電力株式会社
http://www.tepco.co.jp/nu/fukushima-np/handouts/2013/images/handouts_130228_08-j.pdf

注: 表中の線量係数は成人に対するもの。小児や幼児に対するものは数倍高くなる。 
Ann. ICRP 41(s), 2012
Compendium of Dose Coefficients based on ICRP Publication 60
ICRP Publication 119
(Free download)

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 表から、トリチウムの線量係数はセシウム134、137やカリウム40と比較して3桁も低いことがわかる。自然現象として、こんなにも差が出るものなのだろうかという疑問が湧いてくる。すなわち、不自然に感じるということだ。
 この数字は経口摂取の場合だから内部被曝に当たる。トリチウムの放射線(ベータ線)のエネルギーはセシウム134、137やカリウム40の場合と比べてかなり小さいから、生体に与えるエネルギーの総量も小さいだろうと思うのは間違いではないだろう。つまり、エネルギーの違いはザックリと50分の1〜100分の1程度なので、その程度までの差ならありうるかなという感じである。
 しかし、放射線のエネルギーが小さいほどより狭い領域にエネルギーが集中する効果が出てくることは容易に想像できるから、一人の人間に重大な病気を引き起こす最低限度のエネルギー密度というような観点での局所的な効果はそれほど違うとは思えないのである。つまり、生体への影響が1000分の1にまで小さくなるような何か特殊な事情が説明される必要がある気がするのだ。このように、”これが極端な利益誘導行為の結果なのでないか”という疑いが生じてくるのは、ごく自然なことである。
 そこで、この線量係数の引用元を見てみると、”実用発電用原子炉”だとか、”経済産業省”だとか、”ICRP (国際放射線防護委員会、原子力関係の専門家が委員に加わっている委員会)”といった言葉が並んでいる。私が求めているのは、原子力推進者との利害関係を持たない人物による学術的な根拠の説明だ。トリチウムの線量係数がセシウム134の1000分の1と評価される根拠となった元データを見せてもらいたいし、その実験・調査が信頼性のあるものである証拠を示して欲しい。世界中に無数の放射線の専門家がいるんだから、どこかにそのことに言及した学術論文があってよさそうなものだ。まだ見つかっていないわけだが、途方に暮れることなく、粘り強く探していこうと思う。


 要するに、重要なことはトリチウムの生体影響についてのデータを見たいということである。すると、以下のような解説記事が見つかったので紹介しておこう。今後の調査の足掛かりになるかもしれないと期待して。
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Journal of Plasma and Fusion Research
Vol.88, No.3 March 2012
http://www.jspf.or.jp/Journal/PDF_JSPF/jspf2012_03/jspf2012_03-190.pdf

講座 トリチウム生物影響研究の動向

2.トリチウムの生体影響評価

馬田敏幸1),笹谷めぐみ2),立花章3)
1)産業医科大学アイソトープ研究センター,
2)広島大学原爆放射線医科学研究所,
3)茨城大学理学部

 放射線の個体への影響について,人の疫学調査で得られた知見を一般的な観点から述べ,マウス個体を使ったトリチウム水による高線量・高線量率の研究により,何がわかっているのか明確にする.そして低線量・低線量率の放射線被ばくによる生物影響を感知する実験系をトリチウム生体影響研究に応用した研究や,必要とされている新しい高感度検出系の開発について概説する.
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全部を理解するには至っていないが、本文から、最も印象に残った文章をここに書き出しておこう。

「トリチウムβ線の人体影響に関しては,リスク算定に利用可能な実験データがほとんどないのが現状である.」

「今後これらの高感度検出系マウスを用いて,トリチウムの生物影響データを蓄積していくことにより,客観的データを元に,科学的根拠に基づいたトリチウムの影響評価ができるようになると考えられる.」


改めてこれらの文章を見返してみて、こんな風に思いました。
”だったら、東京電力が使っている線量係数はどうやって決めたんだ?”

こんなにも世の中わからないことだらけなのに、
「トリチウムの線量係数はものすごく小さいから安全です」
と納得できる人がいるとしたら、その人は”神”であり”予言者”であろう。




【参考】

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「福島第一原発のトリチウム汚染水」 上澤千尋氏
http://www.cnic.jp/files/20140121_Kagaku_201305_Kamisawa.pdf

「(トリチウムの)原発内でのおもな生成元は,核燃料の三体核分裂(ウランやプルトニウムが核分裂により 3 つのかけらに分かれる反応)である。そのほか,制御棒のなかの中性子吸収物質炭化ホウ素に含まれるホウ素 10 に中性子があたってもトリチウムが生成される。原子炉水中に不純物として含まれるリチウム 6 などに中性子があたることによってもトリチウムができる(加圧水型炉では,原子炉水中にホウ素とリチウムが添加されており,このため沸騰水型炉よりトリチウムの生成量が多い)。」

中部電力によるトリチウム生成の説明資料(PDF)には上記の三体核分裂の話は出てこない。もちろん、意図的に書かなかったのであろう。極めて悪質だと言い切って間違いない。そこに見え隠れする彼らの本当の意図に国民は気付いた方が良いだろう。
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画像

Tritium Hazard Report: Pollution and Radiation Risk from Canadian Nuclear Facilities
Publication - June 11, 2007

http://www.greenpeace.org/canada/en/campaigns/Energy/end-the-nuclear-threat/Resources/Reports/tritium-hazard-report-pollu/

The report concludes that official attitudes on tritium are unscientific and incorrect, that tritium’s hazardous nature should be fully acknowledged by radiation protection agencies in Canada, and that tritium’s dose coefficient should be increased substantially.

   <><><><><><><>

トリチウム危険報告:カナダの核施設からの環境汚染と放射線リスク 2007年6月
“Tritium Hazard Report: Pollution and Radiation Risk from Canadian Nuclear Facilities”
カナダ・グリーンピース

http://www.inaco.co.jp/isaac/shiryo/genpatsu/tritium_2.html
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UNCERTAINTY OF THE TRITIUM DOSE CONVERSION FACTOR
D.M. Hamby

Department of Environmental and Industrial Health
School of Public Health
University of Michigan
http://web.engr.oregonstate.edu/~hambydm/papers/tritiumunc.pdf

Abstract
Environmental releases of tritium oxide at a number of Department of Energy nuclear weapons facilities contribute to a significant portion of environmental dose. Several conversion factors are utilized in the estimation of human impact from these releases, e.g., dispersion coefficients, consumption rates, uptake factors, transport factors, dose conversion factors, and risk coefficients. A probabilistic determination of the tritium dose conversion factor was generated in this work to assess the uncertainty of the internal dosimetry required to estimate dose equivalent given an intake of tritium oxide. The tritium dose conversion factor was found to vary by a factor of about 15 with a median value of 2.2 x 10(-11) Sv Bq(-1) when considering orthovoltage x rays as the standard for estimating the relative biological effectiveness of tritium. The median dose conversion factor increases by about 50%; however, when gamma radiation is considered as the standard. The current deterministic estimate of the tritium dose conversion factor published by the DOE and the EPA is 1.7 x 10(-11) Sv Bq(-1), 25-50% lower than the median probabilistic values. The tritium oxide dose conversion factor model was found to be most sensitive to biological half-life and quality factor and is highly dependent on the standardizing radiation for RBE assessments.
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トリチウムの線量係数はどのように決められた?「トリチウムβ線の人体影響に関しては,リスク算定に利用可能な実験データがほとんどない」 → 【トリチウムの線量係数を桁違いに小さくしたのは誰か? トリチウムの生体影響評価に関する資料収集】 http://bit.ly/1KDDeqF

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